ピアノの録音は響きのある音楽ホールで収録するのが基本ですが、天井の高いスタジオでの録音は、どんな感じになるか。演奏者目線での録音の様子を作曲家の池田奈生子さんにレポートしていただきました。

ピアノのスタジオ録音体験

池田奈生子(作曲家)

 
2018年10月、自作自演の初アルバムを収録するために、大阪へ出かけてきました。本格的な録音は初めて。はたしてうまくいくのかなぁ…という不安はありましたが、私の信頼する録音チームがすべて受け止めてくれるだろうと、楽観的にスタートしました。
場所は、新大阪のKOKO PLAZA の603スタジオ。楽器はYAMAHAのS4型で、調律も完了し、スタジオ内の温度湿度もOKの様子。
 
エンジニアは笑顔の優しい春日さん。録音エンジニアとしては経験豊富な方で、マイクセッティングの準備も軽やかでスピーディ。ディレクターは旧知の善沢さん、演奏する私のコンディションなどを気遣ってくれ、すでになごやかな雰囲気。
スタジオは明るく、天井が高いので圧迫感がなく、ピアノを鳴らすと音が素直に耳に返ってきて、普段のレッスン室とあまり変わらないタッチで演奏すればよさそうです。

 
プレイバックを注意深く

まずは、伴奏付きと連弾の作品から、ファーストを担当してくれる土師さおりさんと軽く音合わせ。テスト録音のあと、コントロールルームでプレイバックを。
 
聴くポイントは、気になる2人の音のバランス。音量だけでなく、タッチの違いや音色を確かめ、メロディーラインや、意図するフレーズがちゃんと聞こえているか、テンポのことなども決めました。演奏している時の感覚と、コントロールルームでスピーカーから聞こえる感じとの違い、さらにこれが今後、どう作りあげられ進化するのか?? 技術的なことを質問したり、お互いの希望を話し合いました。「遠慮せず言ってください」というスタッフに、まず思ったことを素直に話していくことの大切さを感じました。
今回収録したピアノ作品は、すでにこの10年で国内外の多くの方に弾いてもらい、自分でも愛着のある曲ばかり。このCDが、これから楽譜を手にする子供達や初心者の方々のガイドになり、作品に親しんでもらうために、作曲者である自分だからこその世界を、そのまま音にすればよいと確信しながら進めました。
また、ディレクターサイドの作品に対する意見やアドバイスはとても貴重で、沢山の発見がありました。
音源として残る責任はありますが、あまり頑なになることなく、元気な曲は、ちょっと気持ちを上げる、そんなコツも弾いていくうちにわかってきて、“レコーディングって面白い! ”と、いつの間にか楽しんでいる自分も発見でした。

◆編集やミキシング

曲はどれも2〜3分の短いものなので、疲れることなくどんどん進み、たまにミスタッチがあればやり直したり、その場でエンジニアが自然な編集を快くしてくれます。いつの間にか予定の31曲を収録し終えていました。
 
今回は収録とミキシングを1日で仕上げるスケジュールなので、少しの休憩のあと、ミキシングの作業へ。春日さんが提案する音をスピーカーとヘッドホンの両方で聴きながら、CDになった時の心地よいサウンドを追求。少しのリヴァーブを入れてみたり、多めにしてみたりしてチェック。今回はあまり響きを入れすぎず自然なアコースティックサウンドというところで納得。
(サンプル音源など)
録音という作業は演奏したら終わりでなく、そのあとのミキシングやマスタリングでも大切な作業があることを体感しました。CDの場合は、曲間の1秒、2秒の感覚も、ちょっとしたことで雰囲気が変わります。そのたびに、後日CD-Rを札幌までメモと共に送ってくれ、感想を促してくれました。自宅で様々な再生装置で聴いてみて、これで良いかどうかを確認して、マスタリングOK! いよいよCDが形になるプレスの段階が楽しみです。
 
 
 
 
 
 
 

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